労働基準法について学ぶ ①労働基準法とは?

労働基準法は簡単に言えば労働者の権利を守るための法律です。

人が人間らしい生活を送るために必要な労働条件の最低基準を定めて、労働者を保護することを目的としています。

労働契約・賃金・労働時間・休暇など、労働条件の最低基準を定めて、使用者にこの基準を守ることを義務づけています。

労働基準法の7原則

労働基準法の主な原則は下記のとおりです。

労働条件の原則(1条)労働条件は、人間らしい生活を満たすものでなければなりません。
労基法の基準を理由として、現在結ばれている契約の労働条件を低下させてはなりません。
労使対等の原則(2条)労働条件は労使(労働者と使用者)が対等な立場で決定しなければなりません。
労使は、就業規則や労働契約等を守り、誠実に義務を果たさなければなりません。
均等待遇の原則(3条)使用者は、労働者の国籍、信条、社会的身分によって、労働条件について差別的な取り扱いをしてはなりません。
男女同一賃金の原則(4条)使用者は、労働者が女性であることを理由に、賃金について男性と差別的な取り扱いをしてはなりません。
強制労働の禁止(5条)使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはなりません。
【ポイント】
・労働者に恐怖心を感じさせる目的であれば、暗示やほのめかす程度でも該当します。
・「自由な意思を抑圧して労働を強制した」事実があれば、現実に労働させていなくても該当します。
中間搾取の排除(6条)中間搾取とは、労働者と使用者との間で直接結ばれる雇用契約に第三者が介入し、どちらかから謝礼を受け取ったり、労働者が使用者から受け取る賃金の一部を前もって受け取ったりすることです。このようなことが行われると不健全な雇用契約が広まり労働者の権利を害するため中間搾取はしてはなりません。
公民権行使の保障(7条)公民権の行使は選挙権、被選挙権等の憲法上の基本的人権の行使のことで、使用者は労働者が労働時間中に選挙に行くなどの公の権利を行使したり、裁判の証人のために裁判所に出廷するなどの公務の執行のために必要な時間を請求した場合は、拒んではなりません。
※参考 「これだけは知っておきたい 派遣元責任者に必要な基礎知識 派遣元責任者講習テキスト」

労働者と使用者とは

ここまで、労働基準法を理解する上で2人の登場人物がいます。

それが「労働者」と「使用者」

ではこの2人の登場人物は具体的にどのような者を指すのでしょうか?

労働者

労働基準法が適用される労働者とは、①職業の種類を問わず②事業または事務所に使用され③賃金を支払われている者を指します。

使用者

使用者とは、①事業主②事業の経営担当者③労働者に関する事項について、事業主のために行為をするものを指します。

以上のように、労働基準法には「労働者」と「使用者」が登場します。

つまり、労働基準法とは「労働者」の権利や生活を保護するために、「使用者」が厳守すべき労働に関するルールを定めたものとなります。