労働基準法について学ぶ ⑥休日・休暇

休日とは労働契約上労働義務のない日のことをいいます。

使用者は労働者に対して、少なくとも週1回の休日を与えなければなりません。

これを週休制の原則といい、この休日のことを法定休日といいます。

週休制をとることが難しい場合は、例外的に4週を通じて4日以上の休日を与えなければならないとされています。(変形週休制)

この場合、就業規則等で変形期間の起算日を定める必要があります。

この法定休日に対して、週休2日制などの会社が任意で定めた法定休日を上回る日数の休日のことを「法定休日以外の休日」といい、これを所定休日と呼びます。

それぞれの違いは何なのか?

労働者が法定休日に労働した場合、通常の賃金の35%以上の割増賃金の支払いが必要になります。

一方、所定休日に労働した場合は法定休日労働の割増賃金の支払いは不要です。

つまり、週休2日制を採用している場合などは、就業規則に週2日の休日のうち、どちらが法定休日なのかを特定し、法定休日と所定休日を判別できるようにしておかなければなりません。

休日の振替と代休

使用者は、労働者に休日に労働をさせる場合には休日の振替か代休を与える必要があります。

休日の振替とは、休日とほかの労働日とを前もって振り替えることをいいます。

これにより、予め休日と定められた日が労働日となり、振り替えられた日が休日となります。

この際、もともとの休日に労働させた日については休日労働とはならず、休日労働に対する割増賃金の支払い義務はありません。

対して、前もって休日の振替を行わず、休日に労働させる代わりに休日を与えることをいいます。

この場合は前もって休日を振り替えていないため、休日労働分の割増賃金を支払う必要があります。

休日の振替代休
使用されるケース休日を労働日としなければならず、前もって休日の代わりにほかの労働日を休日とするとき休日労働や時間外労働をさせた場合、その代わりとしてほかの労働日を休日とするとき
要件①就業規則等に振替休日の規定があること
②振替休日の特定
③振替休日は可能な限り近接した日が望ましい
④振替は前日までに通知
①代休自体は任意に与えることができる
②法定休日労働の場合には36協定が必要
振替後の日または代休日の指定予め使用者が指定使用者が指定するか、労働者の申請
賃金振替休日が同一週の場合、休日出勤日については通常の賃金を支払う休日の出勤日については、割増賃金の支払いが必要

年次有給休暇

年次有給休暇とは、一定の期間勤続した労働者に対して、労働者の指定する就業日について賃金を減額されることなく有給で与えられる休暇のことをいいます。

付与の要件としては

  1. 雇い入れ日から起算して6カ月継続勤務
  2. 全労働日の8割以上の出勤

上記のいずれも満たしている場合に年次有給休暇が付与されます。

付与日数は原則下記の通り

勤続年数6か月1.5年2.5年3.5年4.5年5.5年6.5年以上
付与日数10日11日12日14日16日18日20日

最初の付与は雇い入れから6か月後ですが、それ以降は1年経過後とに付与されていきます。

また、週の所定労働日数や所定労働時間が短い契約で働くパートやアルバイトにも要件を満たせば年次有給休暇は付与されます。

これを比例付与といいます。

その際の要件は下記の通り

  1. 週所定労働日数が4日以下
  2. 週所定労働時間が30時間未満
勤続年数
週所定労働日数1年間の所定労働日数6か月1.5年2.5年3.5年4.5年5.5年6.5年以上
4日169~216日7日8日9日10日12日13日15日
3日121~168日5日6日6日8日9日10日11日
2日73~120日3日4日4日5日6日6日7日
1日48~72日1日2日2日2日3日3日3日

年次有給休暇は原則として1日単位で請求します。

半日付与制度がない場合、労働者が半日単位で請求してきても使用者はこれに応じる義務はありません。

また、年次有給休暇の時効は2年です。

付与された日から2年間は請求することが可能です。

時季指定権と時季変更権

労働者は、取得したい日(時季)を指定して有給休暇を指定できます。

これを時期指定権といいます。

基本的に労働者側に与えられた権利です。

使用者は時季変更権を行使できる場合以外は、労働者の指定する日に取得させなければなりません。

対して、時季変更権は使用者側に与えられた権利です。

使用者は、労働者の請求したうう有休取得日に有給休暇を取得されると、事業の正常な運営を妨げる可能性がある場合に限り、別の日に有給休暇を与えることができます。

事業の正常な運営ができるかどうかの判断については、事業の規模、内容、当該労働者の作業内容、性質、代替要員の配置の難易度などを考慮して、客観的に判断しなければいけません。

派遣社員の場合は、派遣会社の事業運営に基づいて判断します。※派遣先企業の事業運営で判断する者ではありません。

また、使用者は年次有給休暇の取得促進のため労使協定で年次有給休暇を計画的に付与することができます。

ただし、労働者側で自由に請求、取得できる年次有給休暇を最低でも5日残しておく必要があるので注意が必要です。

また、使用者には年次有給休暇の時季指定付与義務があります。

使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、基準日(付与日)から1年以内の間に労働者ごとに年5日の有給休暇を、時季を指定して与えなければなりません。

年次有給休暇を5日以上取得済みの労働者に対しては、使用者による時季指定は不要となります。

まとめ

実はややこしい休日や休暇の扱い。

有休とかなんとなくで理解しているけど制度としてこんな細かく決まっているんだ。

そう思った方もいるんじゃないでしょうか?

知らず知らずのうちに有休を無駄にしていた!なんてことにならないように、しっかりと内容を理解しておきましょう。