労働基準法について学ぶ ⑧時間外労働・休日労働

時間外労働や休日労働は、本来臨時・緊急時にのみ行うものです。

やむを得ず法定労働時間を超えて時間外労働や休日労働を行う場合は次の場合に限られています。

時間外労働・休日労働が可能となる場合

  1. 労使協定(36協定)の締結・届出をした場合
  2. 災害時その他避けることのできない事由による場合
  3. 公務のために臨時の必要がある場合(公務員の場合)

労使協定(36協定)に基づく時間外・休日労働

労働基準法では、労働時間は原則として1日8時間・1週40時間以内とされています。

また、休日は少なくとも週1回与えなければなりません。(変形週休制の場合は起算日より4週に4回)

法定労働時間を超えて時間外労働をさせる場合や法定休日に労働させる場合には、労働基準法36条に基づく労使協定(36協定)を締結・届出する必要があります。

36協定では「時間外労働を行う業務の種類」や「時間外労働の上限」などを定めます。

時間外労働の上限

時間外労働の上限は、原則月45時間(年6か月が限度)、年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。

また、臨時的な特別の事情が認められ、労使が合意する場合でも以下の内容で上限が設けられます。

  1. 年720時間以内
  2. 単月100時間未満(休日労働を含む)
  3. 2~6か月平均80時間以内(休日労働を含む)

例外として、①自動車運転の業務、建設事業、医師などについては、上限規制の適用を5年間猶予②新技術・新商品等の研究開発業務については、医師の面談指導を義務付けた上で適用除外などのケースもあります。

36協定の手帰結に当たり留意すべき事項

  1. 時間外・法定休日労働は必要最小限にとどめる
  2. 36協定の範囲内でも労働者への安全配慮を行う義務がある(長時間労働による過労死などへの留意)
  3. 時間外労働・休日労働を行う業務の区分を細分化し、業務の範囲を明確にする
  4. 臨時的な特別の事情がなければ、限度時間(月45、年360時間)を超えてはいけない。限度時間を超えて労働させる場合は、可能な限り具体的に定め、時間外労働は限度時間に塚づけるよう努める
  5. 1カ月未満の期間で労働する労働者の時間外労働は、目安時間(1週間:15時間、2週間:27時間、4週間:43時間)を超えないよう努める
  6. 法定休日労働の日数及び時間数をできる限り少なくするよう努める
  7. 限度時間を超えて労働させる労働者の健康福祉を確保すること
  8. 限度時間の適用除外・猶予事業・業務でも、限度時間を勘案し健康福祉を確保するよう努める

非常災害時・臨時の必要のある場合の時間外労働等

次の場合は、(非常)時間外労働および休日労働を命じることができます。

非常災害時原則事前に所轄労働基準監督署長の許可が必要
緊急時緊急で許可を受ける時間がない場合は、事後に遅滞なく届け出なければなりません。
事後審査により、不適法と判断された場合には、超過労働分に対する休憩、休日の付与が命令されます。
公務員の場合臨時で出勤の必要があれば可能

労働時間の把握

労働基準法では、労働時間、休日、深夜業務等について規定を設けており、また、労働時間は賃金算定のもととなるため使用者は労働時間を適正に把握しておかなければなりません。

労働時間を把握するための原則的な方法としては次のような方法があります。

  • 使用者が自ら現認することで確認すること
  • 客観的な記録(タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間履歴等)を基礎として確認し、適正に記録すること

やむを得ず労働者の自己申告制で労働時間を把握する場合においては、労働者、労働時間を管理する者に対し自己申告制の適切な運用について十分な説明を行うことが必要です。

自己申告により把握した労働時間と、客観的な記録から把握した在社時間に著しく差がある場合には、実態を調査し、所要の労働時間の補正を行わなければなりません。

また、使用者は自己申告を阻害するような事項を設けてはなりません。

  • 労働者が自己申告できる時間数の上限を設けてはいけません
  • 36協定の定めを超えて労働しているにも関わらず、これを守っているように記録することが慣習的に行われていないか確認すること

上記項目を遵守する必要があります。