労働基準法について学ぶ ③労働契約の終了
労働契約の終了とは、労働者が何らかの形で会社を辞め、雇用関係を消滅させることを指します。
- 任意退職(労働者から退職の申し出)
- 自動終了(契約期間の満了、定年制度における定年年齢への到達)
- 解雇(使用者の一方的な意思表示により、労働契約を終了)
大きく分けて上記の3パターンがあります。
任意退職(労働者から退職の申し出)
労働者からの申し出により労働関係を終了させることを指します。
その際、契約の内容により要件が変わってくるので注意が必要です。
①無期労働契約
労働者は、使用者にい退職の意思表示をした場合、2週間経過すれば労働契約が終了し、退職することができます。(民法627条2項)
②有期労働契約
労働者は、やむを得ない事情がある場合には、労働契約を解除することができます。(民法628条1項)
ただし、労働者は契約期間が1年を超えた日以降は、いつでも使用者に申し出ることにより退職できます。(労働基準法附則137条)
自動終了(契約期間の満了、定年制度における定年年齢への到達)
①契約期間の満了
労働契約で定めた契約期間が満了した場合は、自動的に契約が終了します。
②定年制度における定年年齢への到達
定年制とは、労働者がその年齢に達した場合に労働契約が終了する制度のことです。
定年制度を採用し、定年の定めをする場合は、60歳を下回ることはできません。
また、定年年齢を65歳未満で定めている場合は次の椅子れかの対策をとる必要があります。
- 定年年齢の65歳までの引き上げ
- 65歳までの継続雇用制度の導入(希望者全員を65歳まで継続雇用する制度)
- 定年の定めの廃止
かつて定年制度が初めて導入されたころは、定年と言われる年齢は55歳でした。
それが時代の流れや医療の進歩により日本人の健康寿命が延びたことにより、現在のような制度となっております。
解雇(使用者の一方的な意思表示により、労働契約を終了)
解雇とは、使用者の一方的な意思表示により労働契約を終了させることです。
①懲戒解雇
従業員が極めて悪質な規律違反や非行を行ったときに懲戒処分として行うための解雇です。
就業規則や労働契約の内容を基準としているので、その要件を具体的に明示しておく必要があります。
②整理解雇
会社の経営悪化による人員整理を行うための解雇です。
労働組合との協議や労働者への説明を行う必要があります。
また、人員削減を行う必要性・解雇を回避するための手段をできる限り行う・解雇対象者の選定基準が客観的かつ合理的である・早期に労使の協議をしていることについて、慎重に検討する必要があります。
③普通解雇
懲戒解雇、整理解雇以外の解雇のことを指します。
労働契約の継続が困難な事情があるときに限られます。
- 勤務成績が著しく悪く、指導を行っても改善の見込みがない
- 健康上の理由で、長期にわたり職場復帰が見込めない
- 著しく協調性に欠けるため業務に支障を生じさせ、改善の見込みがない
以上のケースなどが普通解雇の対象として当てはまります。
労働契約法では「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、解雇権を濫用したものとして無効とする」と定められています。
そのため、実際に解雇を行った際にも、その解雇の効力について労使間で争いになった場合、この条項に基づいて解雇の有効性が判断されます。
まとめ
労働契約の終了は非常にデリケートな問題です。
使用者と労働者、双方にとって納得いく形で労働契約を終了するためにも制度をきっちりと理解しておきましょう。