求人広告の掲載状況 2025年10月分
公益社団法人全国求人情報協会の調査により、2025年10月の職種別求人広告件数について以下の通り発表されました。
公益社団法人全国求人情報協会とは?
求人メディア運営会社を会員とする公益法人で、求人広告の適正化と労働市場の透明性確保を使命としている団体です。

■ 10月の総件数
- 求人広告総件数:2,197,339件
- 前月比:+1.9%(微増)
- 前年同月比:-16.0%(大幅減少が継続)
▶ 求人件数は一時的には戻りつつあるが、前年の水準には大きく届いていない。
▶ 求人需要の減速・採用抑制は続いている。
■ 前月比(職種別)
- 増加:11職種
TOP:
・専門(IT技術者) +27.0%
・専門(医療・福祉専門職) +8.7% - 減少:10職種
TOP:
・専門(保育士・教員・講師等) -16.0%
・サービス(理美容) -8.2%
▶ IT・医療系は短期的に求人需要が強い。
▶ 一方、教育・保育、理美容などは採用抑制が顕著。
■ 前年同月比(職種別)
- 増加:9職種
TOP:
・農林漁業 +42.4%
・専門(保育士・教員等) +21.0% - 減少:12職種
TOP:
・事務 -46.5%
・専門(技術者・研究者) -27.6%
▶ 事務職の求人が半減しており、最も冷え込んでいる領域。
▶ 保育系は前月比では落ち込んでいるが、前年同月比では高水準 → 需給のブレが大きい市場。
▶ 農林漁業は季節要因 + 人手不足構造で増えている。
■ 地域別傾向
- 前月比では全エリアが増加(+0.7〜+6.9%)
- 前年同月比では全エリアが大幅減少(-12.4〜-25.1%)
▶ 全国的に求人需要は短期回復しているが、
▶ 長期では依然として強い採用抑制が継続。
想定される今後の課題(構造変化の観点)
■ 1. 求人市場の「二極化」がさらに進む
- IT・医療・介護は増加継続
- 事務・サービス・教育系は不安定または減少
→ 人材供給とのミスマッチが一段と深刻化する可能性。
■ 2. 事務系求人の激減による競争の過熱
- 事務求人が前年比 –46.5%
- 応募者の増加 → 採用倍率が急上昇
→ 特に地方では「応募過多 × 求人数減少」による過当競争が発生する恐れ。
■ 3. 地域間格差の固定化
- 北海道・東北、中四国の前年同月比は –25%前後 と深刻
→ 少子高齢化 × 企業の採用抑制 が複合して悪化
→ 地方は労働市場縮小スピードが速い。
■ 4. 企業側の「選考基準の引き上げ」が進む
求人件数が減ると、企業は採用要件を強める傾向。
→ 特に未経験歓迎求人の減少が懸念される。
■ 5. 求人広告市場の構造変化
- 掲載件数が減少
- 企業は“必要な人材だけ採る”姿勢へ
→ 広告媒体は「件数依存からの脱却」が急務に。
まとめ:短期回復・長期停滞という“ねじれ”状態
2025年10月の求人広告市場は、短期的には微増、長期的には大幅減少という複雑な局面にあります。
企業の採用活動はまだ慎重で、「必要なところだけ採る」「専門性のある職種から動き出す」という傾向がより強くなっています。
労働市場が完全に回復するには、景況感の改善や企業収益の安定が不可欠であり、しばらくは職種間・地域間の差が大きい状態が続くと考えられます。
出典:新求人広告掲載件数等集計結果(2025年10月分)/公共社団法人全国求人情報協会
