採用ブランディングの第一歩〜「選ばれる企業」になるために〜

はじめに:なぜ今「採用ブランディング」が重要なのか

少子高齢化が進み、労働人口は年々減少しています。厚生労働省によると、2025年現在の有効求人倍率は約1.22倍と高止まりしており、売り手市場の状況は続いています。
こうした状況下で、単に求人広告を出すだけでは人材を確保できず、「企業としての魅力」を伝えられなければ、応募者から選ばれません。

採用ブランディングとは、企業が「どんな価値観やビジョンを持ち、どのような人材に来てほしいか」を明確にし、それを社内外に発信する取り組みです。
いわば「自社のファンを増やす」ための活動であり、優秀な人材の獲得・定着に直結します。

1. 自社の「採用ブランド」を定義する

採用ブランディングの第一歩は、自社がどんな会社で、どんな人材に来てほしいのかを明確に言語化することです。
ここでは、以下のような要素を洗い出します。

  • 企業理念・ビジョン:何のために存在し、どこを目指すのか
  • カルチャー・風土:どんな価値観を大切にしているか
  • 提供できる価値:入社することで得られる経験・成長・働きやすさ
  • 求める人物像:どんな資質・スキル・志向を持つ人が活躍できるか

この「採用ブランド定義」があいまいなままでは、採用活動の方向性がブレてしまい、せっかく採用してもミスマッチによる早期離職につながりかねません。

最初は社内の経営層や現場リーダー、若手社員など複数の視点を取り入れて、「うちの会社らしさ」を言語化するところから始めるのが効果的です。

2. ペルソナを設定して「刺さる発信」をする

ブランドを定義したら、次は「誰に伝えるか」を明確にします。
ここで有効なのが採用ペルソナ(理想的な応募者像)の設定です。

たとえば「地域に根付いた中小製造業」であれば、次のようなペルソナが考えられます。

  • 地元で長く安定して働きたい20代
  • 手に職をつけたいと考えている専門学校卒
  • モノづくりが好きで、チームで働くのが好きなタイプ

ペルソナを明確にすることで、求人原稿・自社採用サイト・SNS発信などで「何をどう伝えるか」が決めやすくなります。
また、入社後の定着率を高めるうえでも、「自社に合う人材」にピンポイントで届くメッセージを発信することは非常に重要です。

3. 社内の「リアルな魅力」をコンテンツ化する

採用ブランディングでは、「実際に働く社員の姿」を伝えることが欠かせません。
ただし大がかりなインタビューや動画制作が必須なわけではありません。まずは社内の情報を整理・可視化するだけでも大きな効果があります。

たとえば以下のようなコンテンツを自社サイトやSNSに掲載していくとよいでしょう。

  • 先輩社員の1日の仕事の流れ(写真+簡単なコメント)
  • 社内行事や研修制度、福利厚生を紹介する記事
  • 社員座談会や若手社員の「入社して良かったこと」

これらはすべて、応募者が「実際に働く自分」をイメージする助けとなり、安心感や親近感を生みます。
とくにZ世代は「入社後のリアル」を重視する傾向があるため、企業広報的な言葉より、等身大の情報が効果的です。

4. 社内浸透で「中から変える」

採用ブランディングは外向けの情報発信だけでなく、社内浸透も非常に重要です。
なぜなら、企業ブランドは「外からどう見えるか」だけでなく「中の社員がどう感じているか」にも左右されるからです。

社内浸透のためには、以下のような施策が効果的です。

  • 自社のビジョンやバリューを共有するワークショップ
  • 定期的な1on1や社内報での情報共有
  • 経営層からのメッセージ発信

社員一人ひとりが「この会社で働くことに誇りを感じる」状態をつくることで、自然とポジティブな口コミやSNSでの発信が増え、結果的に外部にも好印象として伝わります。

5. 採用ブランディングは「継続」が命

採用ブランディングは、一度キャンペーンを打てば終わるものではありません。
むしろ、「地道に続けることでブランドを育てる」長期的な取り組みです。

短期的な応募数アップを狙うなら求人広告やスカウトが即効性を持ちますが、
「選ばれる企業」になるには、継続的なブランド発信で求職者との信頼関係を築くことが不可欠です。

たとえば以下のような「仕組み化」をしておくと、無理なく続けられます。

  • 月1回の社員紹介記事やSNS投稿をルーティン化
  • 半年ごとに採用サイトをアップデート
  • 採用に関わる社員を社内でローテーションし、社内全体で取り組む雰囲気をつくる

時間はかかりますが、ブランドが浸透してくると、広告費をかけずとも自然と応募が集まるようになります。

まとめ:最初の一歩は「自社をよく知る」こと

採用ブランディングの第一歩は、決して難しいものではありません。
立派な映像制作や大規模なSNS戦略から入る必要はなく、まずは「自社をよく知り、言語化する」ことから始めるのが肝心です。

  • 自社の魅力・価値観・求める人物像を明確にする
  • ペルソナを設定してターゲットを絞る
  • 社員のリアルな姿や働きやすさを発信する
  • 社内にも理念やビジョンを浸透させる

こうした一歩一歩が積み重なり、「この会社で働きたい」と思ってもらえるブランドが形づくられていきます。

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