2025年 採用市場動向まとめ

2025年の採用市場は、人材不足が引き続き深刻化する一方で、求職者の価値観や行動も大きく変化しています。
「求人を出せば応募が集まる」という時代はすでに終わり、採用担当者には データを読み解く力長期的な採用ブランディング戦略 が求められています。
この記事では、最新の調査データをもとに2025年の採用市場の全体像を整理し、企業が今後どのように動くべきかを考えていきます。

有効求人倍率は高水準の維持と微調整

厚生労働省が発表するデータによれば、2025年7月の全国の有効求人倍率(季節調整値)は 1.22倍

先月とほぼ横ばいの推移であり、2か月連続でこの水準を保っています。 また新規求人倍率は 2.17倍 で、若干の低下傾向が見られました。

このことから、「求人を出せば何とか人が集まる」という過去の感覚は通用しにくくなってきており、ただ母集団を増やすだけでなく「質」や「選考・定着のプロセス」の見直しが急務な状況となっています。

中途採用の拡大と未経験者採用の浸透

マイナビの「中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」によると、中途採用に積極な企業が9割を超える状況であり、未経験者の採用を行う企業も増加しています。

転職回数を考慮する企業も多く、77.6%が転職回数を審査要素としているというデータもあります。これは、「キャリアの安定性」や「即戦力」を重視する傾向が強い一方で、多様な応募者バックグラウンドをどう評価するかが採用判断の分かれ道になっていることを意味していることが読み取れます。

正社員採用を予定する企業の割合の低下

帝国データバンクの調査によれば、2025年度に「正社員を採用する予定」のある企業は 58.8% で、前年度から減少しています。

新型コロナ禍以降で初めて “6割を下回る” 数値となりました。

採用予定企業が減る背景には、以下のような要因があります:

  • 人件費・賃金の上昇圧力
  • 経営コストの増加(材料費・物流コスト等)
  • 業況不透明感の継続
  • 採用・研修コストを考慮した慎重な採用判断

このため「求人を出すかどうか」の意思決定の段階で躊躇する企業も増えており、採用活動全体が慎重モードに入っている傾向にあります。

職種・業界ごとの需給の偏り

  • 建築・土木・測量技術者など、専門技術を要する職種では非常に高い有効求人倍率(たとえば7倍近くという報告もある)で、企業側としては「欲しい人材がそもそも応募段階で少ない」ことが多い。
  • 一方、一般事務などの職種では倍率が低く、応募者の減少・選択肢の広さ・働き方への要望などから、魅力を感じてもらいにくい状況にあります。
  • IT・通信・DX関連職、医療・医薬・バイオ業界も引き続き求人の伸びが大きく、人手確保が困難な分野として挙げられています。特に医薬品開発・品質保証・バイオベンチャーなどでの求人増加が報告されています。

このように「欲しい人材は採れない、採れる人材は限られる」という二極化が進んでいます。

応募者側・求職者の価値観・行動の変化

複数の調査で、応募者側の動きとして以下のような傾向が確認されています。

  • 働き方の柔軟性(テレワーク・フレックスタイム・副業など)を重視する声が強まっている
  • 職場の雰囲気・文化・企業理念への共感を選択の重要要因とする人が増加
  • 転職回数や経験で判断する側面も残るが、未経験者や異業種からの応募を開放する姿勢を持つ企業も一定数あり、それが応募を増やすきっかけになっている
  • 選考プロセスの速さ(応募から面接、面接から内定まで)を求める傾向が強まっている

これらは「企業ブランド」と「候補者体験(選考・面接・内定後フォロー)」の重要性を一層高める要因です。

経営・財務環境が採用に与える圧力

  • 人件費の上昇による採用・維持コストの増加
  • 賃上げ圧力・物価上昇・エネルギーコスト・物流コストの高騰等、企業の利益率を圧迫する要因が多い
  • 特に中小企業で資金力が小さい企業は、「賃金を上げたいが売上が追いつかない」「育成コストを投入する余裕がない」といった声が調査で散見されます。

これによって、「求人出したいけど出せない」「条件をよくできない」というボトルネックが発生している企業が増加しています。

企業が気をつけるポイント

採用担当者としてこのような市場動向を受けて「今すべきこと」を考える上で、以下の点が特に重要です。

  1. 採用戦略の見直し
     単に求人出稿だけではなく、「どんな人材をどのように惹きつけるか」を戦略的に設計する必要があります。そのためにはEVP(従業員価値提案)・ブランドメッセージの整理が必要です。
  2. 柔軟な条件設計
     給与・福利厚生・働き方(柔軟勤務・副業可など)を見直すことで、応募者プールを広げることができます。特に専門人材や若手層は「条件よりも柔軟さ」に敏感な傾向があるので注意が必要です。
  3. 選考プロセスのスピード改善
     応募から面接、内定までがゆっくりだと、他社に人材を取られるリスクがあります。連絡の迅速化・面接官の確保など、プロセスを見直しましょう。
  4. 未経験・異業種からの採用の検討
     スキル・経験よりポテンシャル・志望動機を重視する採用手法(未経験者登用・異業種転職者の受け入れなど)が重視されつつあります。
  5. 中長期ブランディング・定着施策の強化
     採用して終わりではなく、「入社後どれだけ活躍・定着してくれるか」が採用投資の成果を大きく左右します。オンボーディング・研修・職場環境の改善が求められています。

まとめ

2025年の採用市場は、有効求人倍率の横ばいに見える一方で、業界ごとの採用難は深刻化しています。

特に建設やITでは構造的な人材不足が続き、企業は従来の手法だけでは人材を確保できません。

求職者は待遇だけでなく、企業の価値観や働きやすさ、成長機会を重視するようになっており、「条件で集める」から「共感で選ばれる」採用への転換が求められています。

また、迅速な選考フローや候補者体験の改善も欠かせません。

これからの採用は短期の成果と中長期のブランド形成を両立させることが重要です。採用を単なるコストではなく未来への投資と捉え、自社の戦略を見直す企業こそが、競争の中で選ばれ続ける存在となるでしょう。

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