求人票でよくある失敗例と改善ポイント
はじめに
「求人を出しても応募が来ない」「応募が来ても求める人物像と合わない」──そんな課題を抱える企業は少なくありません。
その大きな原因のひとつが、求人票の書き方にあります。
求人票は求職者にとって会社を知る最初の情報源です。
ここで「分かりにくい」「自分には合わなそう」と思われてしまうと、応募意欲を失ってしまいます。
今回は、求人票で特によく見られる失敗例を4つ取り上げ、改善のポイントを解説します。
1. 情報が抽象的すぎる
失敗例
- 「やる気のある方歓迎」
- 「幅広い業務をお任せします」
- 「成長できる環境です」
これらは一見すると前向きな印象を与える言葉ですが、実際には何を求めているのか、どんな仕事をするのかが伝わりません。
結果として、応募者は「自分にできる仕事なのか」「具体的に何をやらされるのか」と不安を感じ、応募を控えてしまいます。
改善ポイント
業務内容はできるだけ具体的に記載しましょう。
例:「顧客への電話対応(1日20件程度)、資料作成(Excel使用)、営業担当のサポート(アポイント調整など)」
このように具体化するだけで、求職者は自分の経験やスキルと照らし合わせやすくなります。
また「成長できる環境です」と書く場合も、どのような成長機会があるのか を明示することが大切です。
例:「入社後は1か月の研修を実施、その後は先輩社員によるOJTで段階的に業務を習得できます。将来的にはリーダー職や専門職へのキャリアアップも可能です。」
抽象的な言葉を具体的に置き換えることで、応募者が「自分がここで働く姿」をリアルにイメージできるようになります。
2. 必須条件と歓迎条件の区別がない
失敗例
- 「未経験OK」「経験者優遇」など矛盾する表現
- “必須”と“あれば望ましい”スキルがごちゃ混ぜ
条件が曖昧だと、求職者は「自分は応募していいのかどうか」迷ってしまい、結局応募を見送るケースが増えます。さらに、不要な応募が増えることで選考工数も膨らみ、採用効率が下がるという悪循環に陥ります。
改善ポイント
- 必須条件(応募に必ず必要なスキルや資格)
- 歓迎条件(あれば尚良いが、なくても応募可能な条件)
この2つを明確に分けましょう。
例:
- 必須条件:普通自動車免許(AT限定可)、基本的なPCスキル(Word・Excel)
- 歓迎条件:営業経験、法人顧客対応の経験、簿記資格
このように箇条書きにすると、求職者が応募の可否を即座に判断できます。
また、求める人物像を過度に絞りすぎず「応募できる人の範囲」を広く見せる工夫も重要です。
3. 福利厚生や待遇が曖昧
失敗例
- 「社会保険完備」「昇給あり」など法律で義務付けられた最低限の情報しかない
- 「休日あり」「残業少なめ」など曖昧で実態が見えない
近年の求職者は「収入」だけでなく「働きやすさ」「安心して続けられる環境」を重視する傾向が強まっています。
待遇が曖昧だと「入社してから条件が違ったらどうしよう」という不安を生み、応募を避けられる原因になります。
改善ポイント
- 年間休日数(例:年間休日120日以上)
- 平均残業時間(例:月10時間以内)
- 特徴的な福利厚生(資格取得支援、リモートワーク制度、社員旅行など)
これらを明確に書くことで、企業の信頼性が高まります。
「小さな制度だから書くほどでもない」と思うことでも、求職者にとっては応募の決め手になることがあります。
例:「毎週金曜日はノー残業デー」「産休育休取得率90%以上」など。
数字と具体例を使って待遇を示すことは、応募意欲を高めるうえで非常に有効です。
4. 企業の魅力が伝わらない
失敗例
- 事業内容が抽象的で「何をやっている会社なのか」分からない
- 他社との差別化がなく、ありきたりな求人票になっている
これでは「どこにでもある会社」と思われてしまい、求職者の関心を引けません。
改善ポイント
- 自社の特徴や強みを簡潔に示す
例:「創業50年の安定基盤」「地域密着で顧客リピート率90%」「新規事業立ち上げに積極的」 - 社員の声やキャリアステップの事例を入れる
例:「未経験で入社した社員が2年でリーダーに昇進」
こうした具体的な情報が、応募者の「この会社で働きたい」という動機形成につながります。
求職者は単に「条件」だけでなく、「ここで働く自分」を想像したいのです。
まとめ
求人票は単なる募集広告ではなく、企業の信頼性や魅力を伝える大切なツールです。
- 抽象的な表現ではなく、具体的に伝える
- 必須条件と歓迎条件を分けて明示する
- 待遇・福利厚生は数字で示す
- 自社ならではの強みを盛り込む
これらを実践するだけで、応募数や応募の質が大きく変わります。
当社では求人票の改善支援も行っています。「応募が集まらない」「ミスマッチが多い」とお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。