2025年9月10日 / 最終更新日 : 2025年9月10日 裕貴 人材

若手世代（Z世代）が企業に求めるものとは？〜変化する価値観に応える採用戦略〜

1. はじめに：Z世代が採用市場を変える

1990年代後半から2010年代前半に生まれたZ世代が、今まさに新卒採用や若手人材として採用市場の中心に台頭しています。彼らは生まれた時からインターネットが身近にあり、SNSやデジタルツールを使いこなす「デジタルネイティブ」です。
一方で、終身雇用を前提とした価値観や、「我慢して働く」姿勢を当然とする上の世代とは大きく異なる志向を持っています。そのため企業は、従来型の採用アプローチだけでは彼らの心をつかむことが難しくなっています。

では、Z世代は企業に何を求めているのでしょうか。本稿では、最新調査や事例を踏まえながら、その本質に迫ります。

2. Z世代の価値観と特徴

まず、彼らの特徴を整理してみましょう。

  • 自己実現を重視：「何のために働くのか」という意味を強く意識。給与や安定性も大切だが、それ以上に“自分らしく成長できるか”を重視する。
  • 柔軟な働き方への志向：テレワーク、副業、フレックスタイムなど多様な働き方を求める。
  • デジタルネイティブ：情報収集はSNSや口コミが中心。企業広報よりも「リアルな声」を信用する傾向がある。
  • 社会課題への意識：環境問題やダイバーシティ、サステナビリティに敏感。企業が社会的責任を果たしているかを重視する。
  • キャリアの選択肢を広く持つ：転職、副業、フリーランスも自然な選択肢として考える。

こうした価値観は、単なる「わがまま」ではなく、社会や時代の変化を背景に形成されています。そのため企業側が「適応する姿勢」を持つことが、優秀な若手人材を獲得する鍵となります。

3. Z世代が企業に求める「働きがい」とキャリア支援

Z世代にとって「働きがい」は、給与や肩書きだけでは測れません。以下の要素が特に重要です。

  1. 成長機会の提供
    • 定期的な研修やメンター制度、スキルアップのための教育制度を整えることは必須。
    • 「仕事を通じて自分がどう成長できるのか」が明確でないと、早期離職につながるリスクが高い。
  2. キャリアの見通しを示すこと
    • Z世代は「入社後のキャリアステップ」を重視。短期・中期・長期でどのようにキャリアが広がるのかを提示することで安心感を得られる。
    • 職務の透明性や評価基準の明確化が、モチベーションを支える。
  3. フィードバック文化
    • 定期的な1on1やリアルタイムの評価を求める傾向が強い。
    • 年1回の人事評価だけではなく、日常的に成果を認め、課題を共有する文化が必要。
  4. やりがいと社会貢献性の両立
    • 単に利益を追求する企業ではなく、「社会にどう役立っているか」を実感できることを重視。
    • 例えばSDGsに沿った取り組みや地域社会への貢献活動を見える化することが効果的。

企業がZ世代にとって「働きがいのある場所」であると示すには、単なる制度設計ではなく、「一人ひとりの成長や想いに寄り添う姿勢」が不可欠です。

4. 採用・定着に向けた企業側の具体的なアプローチ

Z世代に選ばれるためには、採用広報から入社後の定着施策まで一貫性のある戦略が求められます。

① 採用広報の見直し

  • SNS発信の強化：Z世代は企業の公式HPより、InstagramやTikTok、YouTubeを通じた「等身大の情報」に共感する。
  • 社員の声の活用：若手社員が実際にどのように働き、成長しているのかを動画や記事で紹介することが効果的。
  • 透明性の担保：給与レンジ、働き方、福利厚生などを曖昧にせず、分かりやすく提示することが信頼獲得につながる。

② 採用プロセスの工夫

  • スピード感：選考フローが長いと、他社に流れる可能性が高い。スピーディーかつシンプルな選考が望ましい。
  • 双方向性：一方的な面接ではなく、対話形式で「企業が候補者を選ぶだけでなく、候補者も企業を選ぶ」という意識が必要。

③ 入社後のオンボーディングと定着支援

  • 初期フォロー：入社後3か月間は特に離職リスクが高いため、メンター制度や1on1で不安を解消する。
  • キャリア支援：副業制度、資格支援、キャリアコンサルティングなどを導入し、多様なキャリア形成を支える。
  • コミュニケーション設計：社内の縦割りを超えた交流機会やプロジェクト参画を提供し、帰属意識を高める。

④ 企業文化のアップデート

  • 心理的安全性：意見が自由に言える環境を整える。
  • ダイバーシティ推進：性別・国籍・働き方の違いを尊重し、多様な人材が活躍できる土壌をつくる。
  • パーパス経営：企業の存在意義を明確にし、それを日々の業務と結びつける。

5. まとめ

Z世代が企業に求めるものは、従来型の「安定」や「給与」だけではなく、成長機会、柔軟な働き方、社会貢献性、透明性など多岐にわたります。
彼らは、働く場所を「消費する商品」と同じように比較検討し、自分の価値観に合うかどうかで判断します。

だからこそ企業は、採用の段階から入社後の育成・定着に至るまで、一貫して「Z世代が求める要素」を意識し、実践し続ける必要があります。
その取り組みは単に若手採用に有効なだけでなく、全世代の従業員満足度を高め、結果的に組織の持続的成長につながるでしょう。

企業の皆さまへ

Z世代が求める価値観は、従来の採用手法だけではなかなか響きにくいものです。
「給与や待遇」だけでなく、「キャリアの透明性」「働きやすい環境」「自己成長の機会」を重視する若手に対して、企業はどのように魅力を伝え、定着につなげていくかが今後の大きな課題となります。

当社では、最新の採用トレンドと豊富な実務ノウハウをもとに、求人票の改善・採用広報の強化・オンボーディング支援まで一貫してサポートしています。

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